forLifeMap

仕事、投資、技術メモ、オカルト、その他クソミソな趣味や日常についてあれこれ綴る、日記帳というより雑記帳。忘却の彼方に置き忘れた夢と情熱を求めて彷徨中。

監獄実験の模範囚たちへ

久々の更新。
新しい部署に異動して半年以上たった。
今の部署は多少なり放任主義のきらいはあれど、
忙しくも充実した会社員ライフを送れている。


今週の面白イベントで言うと、前の部署の後輩が
退職した。転職によるステップアップ、と言うと
聞こえは良いが、僕と同じく、前の部署に
居続けることに意味を見出せなくなったのだろう。

決して悪いことばかりではなかったし、その中で
曲がりなりにも成長は出来た。しかし、迫りくる
納期と膨大に膨れ上がる要件の鬩ぎ合いに揉まれ、
およそ人がまともに育つ環境ではない空気に触れ、
「ここはもう駄目かも知れない」という生々しい
あの感覚と重圧は、異動してきっぱり手を切った
今もなお消えてくれない。

f:id:hNeumann:20180615222747j:plain


IT業界の中でも、SIer業界には色々な問題がある。
きらびやかなWeb業界のような世界を夢見て
入社すると、レガシーな文化・ビジネスモデルに
驚愕して絶望し、気付けばまた一人去っていく。
就活生の情報収集には限界があるし、実際に
入社しなければ分からないことも多分にある。
そういう意味では、新卒で入社する会社は
ほとんど運試しに近い。

「自分が思い描いていたイメージと全く違う」
「自分はこの仕事には向いていないのではないか」
そう思ったときに、潔くその場を去ることは
何ら恥じることのない合理的な選択であり、
転職の理由が「逃げ」であることに悪いことなんて
一つもない。サイコロはもう一度振り直せばいい。
臨界点に達して精神に異常を来たしてからでは
遅いのだ。死んでも決して花実は咲かない。

「ここでダメならどこに行ってもやっていけない」
「こんなことで音を上げるなんて我慢が足りない」
的な、ある種の脅しを孕んだ引き留めの言葉には
何の根拠もない。僕は転職ではなく異動だが、
同じ会社内で異動するだけでも、僕は以前より
ずっと幸せになる事ができた。人が集まる場所と
いうものは、狭量な一部の馬鹿が思うよりも
ずっと多様性に富んでいる。そういう上司は
自分自身、今の環境に愚直に耐え忍んできた
自負がある分タチが悪くて手に負えない。


ついでに言うなら、会社は演劇の舞台であり
劇場である。会社という狭いコミュニティの中には
苦手な上司や合わない上司もいるかも知れない。
しかし、上司だって会社から一歩外に出れば
ただの人であり、それ以上でも以下でもない。
社内のヒエラルキーと自身の価値とを必要以上に
同一視するのは危険な兆候であり、一定の距離を
保つことが心身の防衛に繋がる。

自分より長く勤めていれば自分より仕事が出来る
ことは当たり前だし、だからと言って自分よりも
人間的に優れているということは絶対にない。
こんな当たり前の事でも、腐敗した環境で永らく
汚染されてしまうと分からなくなり、上司の
言う事は絶対だとか、それがまるで生まれながらの
役割だったかのように人は思い始めてしまう。
まるでスタンフォード監獄実験だ。


生活のためという諦観の入り混じった心境で
折り合いをつけて働いている人がいる一方で、
仕事にやりがいや面白さを求める人も少なくない。
振れ幅はあれど、その均衡こそが、人が人として
働き続けることができる居場所ではないか。

自己実現や社会貢献、世界へ影響を与える生き様。
本当に素敵な事だと思う。しかし、皆が皆、
それほど意識高く生きる必要などないし、
「よりよく生きる」ただそれだけの思いで
行動することも、何の遜色もなく気高い。

自身の環境に絶望している人に伝えたい。
あなたにとって、そこから去る事が最善の
選択となる場合があることを忘れないでほしい。
どうか腐らないでほしい。あなたが本当に
やりたかった事は何だったのか思い出してほしい。


※このエントリは、おさんぽみるくさんの
 アーカイブ
リスペクトして書きました。