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仕事、投資、技術メモ、オカルト、その他クソミソな趣味や日常についてあれこれ綴る、日記帳というより雑記帳。忘却の彼方に置き忘れた夢と情熱を求めて彷徨中。

物理を愛でる心とともに

Saas(さーす)、Paas(ぱーす)、Iaas(いぁーす)、
クラウドコンピューティングが台頭して以来、
上記以外も「なんとかaas(なんとかーす)」という
言葉が氾濫しているように見受けられる。
いや、別にそうでもないか。

そもそもAWSに代表されるIaasと
サーバー業者が提供するVPSとで
いったい何が違うのかよく分からなかったが、
最近AWSの勉強を始めて色々分かってきた。

AWS(アマゾンウェブサービス)。
eコマースの覇者であるAmazon.comが、
2004年?頃に満を持して一般開始した
クラウド型の開発プラットフォームである。


当初はサービスも今ほど豊富ではなかったが、
今ではインスタンスの種類もさることながら、
デプロイの自動化やらモニタリング機能やら
今では50種類以上のサービスが提供されるに
至っているとかなんとか。

豊富なサービスだけではなく、
AWSの利点はその柔軟なスケーラビリティ、
電気やガスのような従量課金の料金体系など
VPSにない魅力が数多くあるのである。
VPSの場合は基本定額プランだし、
スケールアップやスケールアウトも
いったん解約しない限り厳しいしね。


レンタルサーバーの業者といえば、日本なら
「Xserver」「さくら」「ロリポップ」あたりが
有名どころだろうか。ちなみに日本のものより
海外の業者の方が、驚愕のハイスペックマシンを
低コストで利用できるというメリットはあるが、
日本人は日本の業者を好む傾向が強いようだ。
まぁ僕も「さくら」を使っているけど…


企業のAWS導入事例を見ていると、
クラウドの選定時にAWSが選ばれる理由として
よく挙げられているのは、サーバの堅牢性や
耐障害性、可用性などが非常に高いレベルで
保障されているということだ。

そりゃそうか。低コストで抑えるという前提も
満たしつつ、何よりも「安全」を重視するのが
法人の考え方である。SLA重視なのである。


オンプレミス型の運用での、ハードウェア選定や
環境構築、ソフトウェアの導入や管理などの
煩わしい作業も、すべてクラウドに置くことで
解決されていく、と考えられがちである。

実際の導入はそんなに一筋縄でいくものではない。
ストレージの逼迫具合やトラフィック量に応じて
後からスペックを変更できるとは言え、サイジングや
CPUの選定をしなければいけないという意味では
オンプレミスの場合とそうそう変わらない。

ソフトウェアの導入・管理を先進的に行う方法が
あるとしても、それについてのノウハウがない場合
馬鹿にならない教育コストがかかる。もちろん
トータルでコストが安くなる場合もあるが、
真に使いこなせなければ想定していた通りの
費用対効果を得られない場合も少なくない。


僕は決してクラウドコンピューティング
流れに警鐘を鳴らしたいわけでもない。
使いこなせりゃこれほど便利なものもないだろう。

ただ、クラウドコンピューティングというのは、
ハードウェアやミドルウェアの知識がなくても
便利に使える魔法のランプでは決してないし、
物理的制約を意識しないブラックボックスとして
扱うことも決してできないと言いたいだけだ。
当たり前だけど。

何より、クラウドという目に見えない世界に
すべてを委ね、ハードウェアの姿を見ることの
なくなる流れに一抹の寂しさを覚えている。

いま僕にできることは、この寂しささえ
視界に入らぬほど勉強することくらいだ。